分かっていたことではありますが、構文解析はHPSGを用いたにせよ、結局は力仕事の部分が多分に存在します。形態素解析がそれなりに作れたからといって、矢継ぎ早に構文解析の機能は開発出来ないことが、悲しい実情です。
そうしたリリースの谷間もあり、またあまりにもネタがなくて寂しいということもあり、「ハードウェア」カテゴリを設け、批評等を行っていこうと思います。
第一弾は、実用コンパクトキーボードの最高峰である東プレ製Realforce91U(NG01B0)……ではなく、当該キーボード向けにダイヤテック(FILCOブランド)が開発・販売しているRealforce91シリーズ メタルカスタムキット Real Black (MCK91B)のレビューです。
本キットは、デザインに飽きが来た向きよりも、むしろ打鍵感の求道者にこそ知らせたい福音であるとの感を持ちました。
Realforceもまた「鞍」である
テンキーレスキーボードの雄である東プレのRealforce 91Uについてはまた別の機会に採り上げようと思いますが、ともあれこのキーボードは現状取り得る選択肢の中で至高の芸に達しています。私などは自宅と職場でそれぞれ使っており、私という悪い先輩の真似をしたのか、後輩も愛用するようになりました。
謹慎な話ですが仮に販売終了の話が出たとしたら、向こう数十年分の予備機として10台は買っておきたい程に気に入っています。作家を気取るわけでは毛頭ありませんが、一本の万年筆を修理しながら長く使い続けていて、万年筆が壊れることは断筆を意味するとまで称した作家の気持ちが解るような気がします。
鞍を安定させよ
そのように、まさに和田先生が 曰くところの「鞍」として活躍しているRealforceなのですが、一般向け販売を行う以上、そこに妥協が生まれるのは致し方ないことと言えましょう。
システム会社に勤めていても同僚に驚かれるような(それこそ、Dr.きたみりゅうじの”IT業界の勘違い”クリニックのキーボード話にあったような)1万7千円程度の実売価格であるとはいえ、大昔のキーボードと比べると珍しくない価格設定です。そのような大昔のキーボードは、職場で私が入れない領域でオペレータ諸氏が日々向かっているコンソールで活躍していると同僚に聞いたので、いつか何かの機会に触ってみたいと思うのですが、なかなか難しそうです。
閑話休題。大昔のキーボードの打鍵感に勝るとも劣らないと言われるRealforceですが、例えば外装はプラスティックですし、底板も鉄板ではありません。高速打鍵を旨とするRealforceユーザとしては、本キーボードの最大の弱点が底打ち音であり、音がするということはすなわち微細な振動を防ぎきれないという問題が生じていることに他なりません。勿論、本機はメカニカルキーボードではないので、上記のきたみりゅうじ氏の記事のように周りに迷惑になる程の打鍵音ではなく、むしろ周りのPC付属品キーボードよりもお淑やかな音ではあります。
誤解を招くといけないのですが、静電容量無接点方式のスイッチという最大の特長を除いても、Realforceの安定感自体は、並のキーボードが泣いて逃げ出す程です。敢えて細かな点を挙げるとすると、具体的には以下のような特長があります。
- キー(打鍵する指)により異なる軽めのキータッチ で、押下圧を意識せずに打鍵出来る。つまり、無用な力を込めずに打鍵出来るので、振動が少なく、騒音も低い。
- プラスティックとは思えない仕上がりと工作精度で、たわんだり軋んだりということとはほぼ無縁である。キーボードの両端を持って捻っても、殆ど軋まない。
- キーボードをチルトした場合・しない場合のそれぞれの角度に対応するようにゴム脚がV字型に取り付けられており、単なるカマボコ型のゴム脚とは異なる安定感がある。
しかし、いかなRealforceといえど、振動や打鍵音と無縁でいられるわけではありません。自作PCで制振・静音を求める道に限りがないように、キーボードの理想に至る道もまた果てしなく続くものです。
隣の芝は青い
例えばENERMAXのキーボード(KB002U)は土台が鉄板・フレームがアルミという、素材については隣の芝が青く見えてしまう限りなのですが、この素材とRealforceが融合したら、と夢想せざるを得ないのは、キーボード求道者にとっては止むべからぬ性と言えます。入力専門機器用にOEMしている東プレのことですから、もしかしたら特定用途向けに少量製造しているのかも知れませんが、まさか一般人が買えようとも思えません。
そうして、打鍵生活に比類無き快適さを教授していながら、入道雲のように悶々さを立ち上らせていて2年が経とうとした頃に、とうとうこのキットに出会ったのです。次のページでは、このキットと私の運命の巡り会い(という程のものではありませんが)をご案内します。
はじめまして。レビュー参考にさせて頂き購入におよびました。(到着セッティング後のご報告です。)ダイヤテックHP情報では今一つ使用感が図りかねており、情報を求め辿り着いた次第です。詳細なレビュー拝読し、早速の購入の運びとなり、想像以上の使用感に満足しております。貴重な情報へ御礼申し上げます。ありがとうございました。
・ATOK使用に伴いJust SystemのRealforce91U for ATOKを使用しております。附属のカバーを「ハンカチ」代わりに使用しております。蛇足失礼致しました。
Comment by taboo — 2007/08/28 火曜日 @ 19:00:21
tabooさん、コメントくださり、ありがとうございます。
(tabooさんも感じられたように)購入者からの感想とはいえ、「写真より実物の方がいい」という謳い文句を掲げるのは、ダイヤテック社には努力の余地がありそうですね。
私は技術者の端くれなので、物はいいのに売り方が今一歩なダイヤテック社が愛おしく思えて、そうした思いに駆られて感想を書き付けたのですが、ご参考いただいたようで恐れ入ります。愛用する仲間が増えたと知り、とても嬉しいです。
記事中に登場している私の後輩は、カスタムキット仲間に引き入れるまでには至っていませんが、Realforce本体のカバー袋を使っています。キーボードにこだわりのある方はカバーやパームレストにも一家言ありそうで、ウェブサイトやブログ等で拝見することを楽しみにしています。
ではでは。
Comment by Gardejo — 2007/08/28 火曜日 @ 23:54:27
Gardejo様 ご返信拝読致しました。ありがとうございます。
Keyboardには(入力装置一般ですが)並々ならぬ好奇心を抱き、テンキー・レスのアレコレ(英語配列)を彷徨い、HHK Pro-2台を経てRealforceに辿り着きました。
(まだ半日程の使用ですが)拙い経験ながら、最上の打鍵環境に至る事が出来た。と、喜んでおります。重ねて詳細レビューへ御礼申し上げます。ありがとうございました。
Gardejo様とは対局?の環境下の私には(服飾従事です。)「物はいいのに売り方が今一歩」非常に新鮮に響き届きました。従事する「服飾」は正に真逆であり、ブランド名、媒体露出度等々、保持する「真の価値」とは乖離した評価、消費が行われており、(その消費をコントロールする側とは云え)鬱々とした想いを抱かざるを得ません。(愚痴の物言いと気付きました。ご容赦下さいませ。)
前述の「渡り歩き」の所行は「自身の使用環境下」に於ける「実際の使用感」に因る処でありましたが、Gardejo様の詳細レビューに出会わなければ、少なくとも購入機会は先になっていた事と想います。(仰る通りダイヤテックHP所見では「キワモノ?」との感想まで持ちました。)以上の経緯から、思わず御礼申し上げさせて頂いた次第です。駄文長文ご容赦下さいませ。本当にありがとうございました。
Comment by taboo — 2007/08/29 水曜日 @ 03:04:47
tabooさんの打鍵感の理想へ至る道を、私の記事が拙いながらも照らせたようで、何よりです。
IT関係は華やかなように見えてその実はデジタル建築業でして、職人気質なのか、頑張って作ったことで満足してしまってアピールが足りないという性癖が存在します。子会社で外販をしていない私の職場でも、私は(盛んに物作りをしていた昔以来、プロジェクトマネジメント的な仕事を行っている今に至っても)上司によく叱られますが、物作りと売り方(見せ方)との関係は、なるほど、環境が違えば色々に文化や思うところがあるものなのですね。私こそ新鮮な驚きでした。貴重なご感想をくださり、ありがとうございました。
Comment by Gardejo — 2007/08/29 水曜日 @ 23:27:36
Gsrdejo様 度々失礼申し上げます。当品の不具合顛末に就きご報告させて頂きます。
購入後到着した製品の天板に(Esc上部です。)3cm程の傷があり、サポートへ連絡後「本体交換」の運びとなりました。迅速な範疇の対応であったと想いますが、(交換品先送)到着した製品への換装接地後「ガタ」に気付きました。(滑り止めゴム足の不均衡が要因と想われます。)
この交換にはサポート担当者より「開梱確認後発送」の旨連絡を貰っていましたが、重ねての商品管理不具合に残念な想いを抱きました。(不具合箇所の差異はありますが。)
再度の交換回避のため、天板交換の対処にて返送致しましたが、使用感に満足しているだけに複雑な感慨です。
某書き込みサイトでは当品(企画製品化)への誹謗中傷も見られますが、(使用者の感想ではなく、Realforceファンのものです。)製造元の管理体制を知る処となり、追加注文を躊躇っている次第です。
(Gardejo様ご使用の2台には不具合が見られぬ様であり、自身の不運と行い?と達観致しましたが、重ね重ね残念な想いです。)
Windyケース使用から、工作精度への過度な期待は持ち合わせていないつもりですが・・・
以上、顛末のご報告でした。残念な想いを払拭すべく、快適な打鍵を堪能する心づもりでおります。
愚痴ともつかぬ駄文、重ねてご容赦下さいませ。ありがとうございました。
Comment by taboo — 2007/09/01 土曜日 @ 04:06:10
tabooさん、貴重なご報告をありがとうございました。
私も似た経験(初期不良~返送~別箇所が不良)をスマートフォン(Advanced W-Zero3[es])用のウエストポーチでついこの間体験してしまいまして、困ってしまったことがあります。ウエストポーチは1万円もしなかったので諦めもつきますが、なまじ高級感を謳う商品だと、ここは品質管理にも気を配って欲しいところです。
奥行き方向のがたつきだとしたら付属の予備ゴム脚で何とかなりそうですが、高さ方向のがたつきだとしたらなおのこと痛いですね。三度目の正直が来ることをお祈りしております……。
Comment by Gardejo — 2007/09/04 火曜日 @ 00:17:55