hack(kodumado)という程のものでも何でもないのですが、先のエントリのRealforce用メタルカスタムキットの感想でも述べたとおり、私はハンカチーフをキーボードカバーにしています。掌の多汗症という程ではないのですが、どうしても素のままですとキートップがベタ付いてしまいます。それを嫌っての習慣なのですが、どうにも職場で驚かれることの方が多いです。
キーボードカバーにハンカチを使う人間はそうそういないと思いますが、それで不自由はないのか、使用感は如何な物であるのか、以下に簡単にご紹介します。
作業手順
このhackは至って簡単です。人を食ったような作業手順は以下の通り。
- 通常のハンカチを用意します。
- 正中線で二つ折りにします。
- キーボードに被せます。
これだけ。これでキーボードカバーの完成です。完成図というほどのものではありませんが、作業後の状態の写真を先のエントリに続いて、本エントリの冒頭に再掲しています。
特に気をつけるべき点等はありません。材料には普通のハンカチを用います。実測したところ、対角で60cm(一辺が44cm程)でした。これが、ちょうどフルキーピッチ・テンキー無しのキーボードの横幅とほぼ合致する長さとなり、Realforceとの相性も素晴らしいです。なお、この夏の盛りに大人気なタオル地のハンカチは、流石に打鍵感がまったく変わってしまうため、避けた方が無難でしょう。
効用
自然な指触りを実現
ハンカチは布で出来ていますので、薄い膜のような素材と比べて、肌触りが良いです。
立体成形された各社PC用キーボードの専用キーボードカバーや、素材がほぼ同じの汎用のキーボードカバーや、或いは単なるプラスティック袋と称しても良い汎用のキーボードカバー等、いずれも市販品で多く存在しますが、皆いずれも素材は似たものです。などと書くとキーボードカバーに一家言ある方からお叱りをいただきそうですが、流石に布とは比べものになりますまい。
摩擦係数の高さは確かに定量的ですが、それが心地良いかどうかは人により異なるため、肌触りの良さを論じるのは難しいのですが、例えば衣服で言うと雨合羽等の特異な例を除いては膜のような素材が無く、仮にプラスティック素材であっても布状に織っていることが傍証となるのではないでしょうか。
また、或る程度違和感なく伸縮可能な素材であることも忘れてはなりません。キーを押下するとき、フィルム状のプラスティック素材ですと、あまり伸びません。それを防ぐための立体成型でもあるのでしょうが、凸字状の物体が凹む際には、違和感を禁じ得ません。その点では布は或る程度柔軟に伸縮するので、まるでキーボードとカバーが一体であるかのような打鍵感を実現出来るのです。
再利用が可能
汚れた場合にはすぐ新しいハンカチに取り替えられますので、とても清潔です。しかも、取り替えた後は洗濯すれば何度でも使えるので、経済的かつ環境負荷が低い選択肢と言えましょう。
気分に応じてカスタマイズ可能
再利用が可能ということは、数週間単位でハンカチを換えることで、飽きがこないという副作用もあったりします。
自宅や職場で一番手に触れる物体として、キーボードは電話機やマウスと並んで位置しています。来る日も来る日も同じ面を眺めているのでは、陰鬱な気分になろうというものです。そこで、気分に応じてカスタマイズ可能なキーボードカバーが活きてきます。
- 春のうららかな陽気に誘われた色
- 梅雨の陰鬱さを吹き飛ばすすっきりとした色
- 夏は思い切って原色で華やかな柄
- 秋は哀愁を秘めた深い色
- 冬は素朴な無地で薄い色
……などと想像すると楽しい気分になりませんでしょうか。
といっても男物のハンカチはあまり冒険する物でもないのですし、女物のハンカチの柄やら種類やらは寡聞にして知らないですし、そもそもファッションセンスには極めて乏しいのが実情であるので、あまり大層なことを書けた物ではありませんが。ともあれ、職場生活に彩りを添える一助となります。Realforce用のメタルカスタムキットの美貌を覆い隠してしまうので残念かと思いきや、じつのところデザインの気分に応じた変更はこのキーボードカバーにて代替可能なのでした。
打鍵音がごくわずかに低減される
あまり効果が実感出来ないかも知れませんが、布地で空気層も含むこのカバーによって、ごくわずかながらも打鍵音を低減できます。特に音の特質状、高音部の伸びを押さえることが期待出来ます。
不自由さはないのか?
このように効用を述べて参りましたが、逆に不自由さはないのでしょうか。
ごく細かな埃が溜まる
唯一といって良い弱点は、キーボードにごく細かな埃が溜まることです。布は糸を織り上げたものですので、ごく微細なほつれが生じることは致し方ありません。この際に小さな糸くずが発生してしまいます。すると、キーボードにこれが付着するという次第です。数週間も使っていると、特に私の使用しているRealforceのようにキーが黒い場合、側面がうっすらと白んでくるのが判るはずです。
この意味では防塵性能にはやや難があるかも知れません。数週間に一回は湿らせたティッシュペーパやら綿棒やらで掃除が必要になるかも知れません。ただし、油分がほぼありませんので、吹けば飛ぶようなものですので、頑固な汚れではありません。
タッチタイピングが前提だが、上達も可能 ~ 最大の利点となる
そもそも不透明なキーボードカバーを使う大前提として、タッチタイピングが行えることという条件があります。何せキートップが全く見えないのですから、プリント内容が何であっても全く意味をなしません。
ただしタッチタイピングの能力は必須の物ではなく、むしろ悪い癖を矯正することが出来るかも知れません。
この時勢、或る程度のタッチタイピングは多くの方が出来ます。統計学上の信頼性はありませんが、36.7%が出来るという調査結果もあります。しかし、本当に全く手許を見ずに打鍵出来る方は、金融系SEの私の職場でもあまり多くありません。例えば、数字はいかがでしょう。記号は打てるでしょうか。コンビネーションキーはどうでしょう。上記調査結果でも「完璧に出来る」という回答が5.7%であることからも判るように、少なからず手許を見ているはずです。
しかし、そうした「通り一遍」にタッチタイプ出来るまでに、「英会話を話せるようになるまで英会話学校に通って挫折したがどうのこうの」といった類の武勇伝が生まれることはあまり聞いたことがありません。そして、8割方のキーをタッチタイプするまでの努力は、打鍵頻度を割り引いたとしても、これを10割に持って行くまでの努力よりも少なくて済むはずです。
そのためにこそ、手許を塞いでしまいましょう。安易に手許を見る依存癖をなくすことで、完全なるタッチタイピングの世界に一足飛びで到達することが出来るのです。
完全なタッチタイプを行うと、本当に快適です。手許を見ないと、上下方向の視線移動が減り、VDT作業による疲れが大幅に低減されます。医学的な一次情報をすぐには調べかねるのですが(ググれば眼科医の先生方のウェブサイトも多くヒットします)、例えば厚生労働省の「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」でも視線移動が眼の疲労を招く旨が明記されています。
もっとも、これに喜び勇み過ぎると、今度は画面ばかりを見てしまって疲れてしまうということもあるので、視線移動をしていた無駄な時間は、遠くの風景を眺めるなどして目を休めることに使うことが肝要です。
まとめ ~ 試す価値はある
あまりにも突飛な発想であるかのように驚かれますが、何ら珍しいことをしているわけでもありません。しかし、もしまだ体験されたことがない方は、思い切って試してみてはいかがでしょうか。
最初は自宅で試しつつ、慣れてきたらどうか職場でも試してみてください。最初は周りから珍しがられるかも知れませんが、その頃には周りにもお勧め出来る程にお気に入りになるかも知れませんよ。