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2008/2/3

結果画面に於ける再絞り込みの要否

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この開発日誌での言及が遅れましたが、辞書引き機能のversio 2.0.2を公開しました。AJAXを用いた見出し語インクリメンタルサーチの挙動を変更したものです。

単なる機能追加だけではなく、結果画面での当該検索条件での絞り込み処理を省略しているので、戸惑われることがないかどうかが気に掛かっています。

変更点の詳細と開発者の思い

今回の版の変更点は、以下の通りです。

versio 2.0.2 (35-a publikigo, en 2008/01/30)

  • 【機能追加】検索結果画面を開いた際に、フォーカスを合わせている検索語入力ボックス内のカーソルを、文字列の末尾に位置するようにしました。これまでは文字列の先頭に位置していました。
  • 【仕様変更】検索結果画面を開いた際には、見出し語インクリメンタル検索を実行しないようにしました。検索条件(検索語・一致種類)を変更した場合にのみ実行するようにし、その旨を表示するようにしました。結果画面を開いた際には、既に見出し語はインクリメンタル検索済みであるため、無駄な通信を省いたものです。
  • 【表示変更】見出し語インクリメンタル検索時、検索中の場合には色の変化だけではなく「通信中」という文面を表示するようにしました。

検索結果画面での再絞り込みの省略の是非

開発者の心配事

気がかりなのは、二点目の内容です。検索結果画面に於いて、当該検索条件(見出し語や一致条件)での絞り込みを行わず、「辞書の見出し語は絞り込み済みです。」と表示するというものです。如何でしょう、使い勝手が悪くなっていませんでしょうか。

検索結果画面というのは絞り込みを行った画面であるため、同じ条件で絞り込みを行うのは確かに無駄というもので、これを省略することによってPC(クライアント)・回線・サーバの負荷を減らすという目的がありました。勿論、検索条件を変えれば(見出し語の文字列を変えたり、一致条件を変えるなどすれば)、これまで通り、検索結果画面でも絞り込みを実施出来ます。表示にもその旨を「検索条件(検索語や一致条件)を変更して、別の絞り込みを行うことが出来ます。」と記載しています。

しかし、この手の仕様変更は大変に注意が必要です。例えば、絞り込み済みであることを頭では理解出来ても、それを「直感的」に感じ取ることには難儀するかも知れません。絞り込み済みという表示や、まして「条件を変えれば元通り絞り込みが可能である」旨など、よほど注意して見ていなければ容易に見落としてしまいます。

ユーザビリティの追求

別にユーザのリテラシを低く見積もっているわけではありません。これは、ユーザビリティ(使い勝手)の問題であるからです。

例えば、或るボタンが状況によって存在したり存在しなかったりすると、ユーザは混乱してしまいます。開発側からすれば、当該状況で当該ボタンを使用する意味がない、さらには使用されると困るとしても、利用者側からすればそんなことは知ったことではありません。それ故に、こうした場面では「ボタンを表示するが不活性状態にする(グレーアウトして押下出来ないようにする)」という文脈を講じることが奨められています。ユーザは開発者の都合にお構いなしに当該ボタンを探して(場合によってはグレーアウトしていても構わず押下しようとして)、そこで初めて当該ボタンが使えないことを知覚し、理解するものです。ボタンがそもそも存在しなければ、ボタンを使えないことは分かっても、戸惑いが生じることは容易に想像出来ます。それでは、別の状況ではこのボタンは果たしてあるのだろうか、などと。

もう一つ例示するなら、次へ進む・或る処理を実行するといった前向き(ポジティヴ)なボタンと、前へ戻る・処理を中断するといった後ろ向き(ネガティヴ)なボタンがあったとして、状況毎にこの配置が入れ替わっていてはとても堪りません。横書きの文章は左から始まり右に終わるので、前へ進むのであれば右側・後ろへ戻るのであれば左側にボタンが位置するのが直感に適っています。この辺り、アラビア語圏(横書きは右から始まり左に終わる)での設計に興味があったりもします。

Windowsも、巨大な市場占有率故に色々とユーザの不満もありますが、それでもOSとして統一感を或る程度備えています。Officeのような巨大アプリケーションもまた然りです。MicrosoftはWindowsに於けるアプリケーションのUI(ユーザインタフェース)の設計にあたって守るべき指針を作成して公開していますし、古くはPalm OSもまた同様の思想に基づいて設計されていました。また、アフォーダンスという考え方もあります。例えば片開きの扉で、取っ手(ドアノブ)にあたる場所に板が一枚貼り付けてあるものを見れば、ユーザはこれは押して開くことを容易に理解出来ます。頭で理解するのではなく、物の形それ自体が直感に訴える作りをしているからです。

しかし、中小のソフトウェアハウスが出す製品や、個人が出すフリーウェアやシェアウェアの中には、まだまだ脇が甘いところがあります。それは勿論、個人が公開しているフリーウェアの一つであるこのErmitejoにも当てはまります。

今回の改定は、ユーザビリティ的には、統一感がやや失われる可能性があります。検索窓に検索語を入れれば絞り込み検索が出来るけれども、結果画面で予め検索語と一致条件が入っている場合には絞り込みがされず、何やら分かりにくい文字列が並んでいる、と。つまり、「検索ボックスに何か文字を入れれば、見出し語を絞り込める」と知覚いただけるだけのアフォーダンスを作っておきながら、自らそのアフォーダンスを取り除いているようにも思えるのです。

この程度であれば大丈夫では無かろうかという、基準もなく曖昧な感覚で不要と判断してしまったのですが、お使いになって不満な点などがありましたら、 忌憚のないご意見をお寄せいただければ幸いです。

おまけ:「通信中」文字列の表示

検索条件が変わると、これまでは背景色を濃くして通信中であることを示していましたが、文字列でも「通信中です……」と表示するようにしました。まだこれは改善の余地があって、「通信中です……」の表示中にさらに検索条件を変えると、その分だけ「通信中です……」が増殖するというマドハンド的な状態を招来せしめてしまいます。

DOMスクリプティングの作法から言えば絞り込み部分のdiv要素の中にp要素が1つか2つか、即ち「通信中です」で1つp要素が追加されているか否かを見るのが良いですので、今後はこの増殖問題を駆除するように考えています。

【2008/02/08追記】元に戻しました

「進む」「戻る」をした場合等の考慮漏れがあり、再検索は有効にするように戻しました。「通信中」文字列の重複問題と併せてversio 2.1.1として修正版を公開しています。

#88 (2008/02/03 04:34:35), Gardejo

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